第15回日本給食経営管理学会学術総会でも紹介差し上げたお話なのですが、改めてこちらでも明石市が実施している「みんなの給食プロジェクト」について紹介いたします。
明石市では長らく中学校給食が実施されておらず、2018年4月から新たに建設した2つの学校給食センターから提供を受け13中学校で給食が始まりました。
同年9月から1人暮らしの65歳以上を対象に、その中学校給食を活用し温かい昼食を提供するパイロット事業「みんなの給食プロジェクト」を始めたのです。
市内に住む65歳以上の独居者は約1万5千人。給食を調理し配送する給食センターを高齢者にも活用することにしました。今年度はその2年目。
みんなの給食プロジェクトの概要は次の通りです。
対象者 :市内65歳以上の一人暮らしの方
(日中一人暮らしを含む)
場所 :中学校コミュニティセンター(13か所)
人数 :20人~40人/回(会場の大きさによる)
食事代 :400円
献立 :中学校給食の献立から牛乳を抜いたもの、お茶つき
申込 :事前にコミュニティセンターへ電話予約
時間 :11時45分、会食開始12:25分頃
担当部署:明石市福祉局高齢者総合支援室
給食配膳等運営はボランティア団体等へ業務委託しています。
・11:00~14:00までの3時間程度/回
・従事者:4~5名以上/回
・委託料:10,000円~12,000円(税抜き)/回
・衛生面や健口体操など従事者への事前研修会
・交通費は従事者自己負担
11:00 従事者集合・会場設営
11:45 受付開始・参加料徴収
12:15~12:30 食缶運搬・食事・お茶の配膳
13:20~13:35 食缶返却・後片付け
プロジェクトの狙い
ひとりで食事をする高齢者はうつになる可能性が高く、食への関心も薄れ、嚥下機能が低下しやすいと言われています。新たに始めた中学校給食を活用し、中学校区コミュニティセンターで一緒に会話をしながら食事をすることで、ひとり暮らし高齢者の安否確認や孤立防止に加え、食に対して楽しみや関心を高めてもらい、精神的ケアや介護予防につなげていくことを目的としたパイロット事業です。
課題
パイロット事業(3か年予定)の2年目として、現在はひとり暮らしの高齢者を対象としているが、将来的には身障者やひきこもりなどの市民にも参加できる事業にしたいという構想がありました。課題としては会場によって参加者が少ないケースがあります。利用者を増やすことが課題でもあります。ただし、中学校給食の運営に支障をきたさないことが条件となっており、準備や会食時間に制約が生じることが想定されています。
学校給食の多目的化が各地で進んでいますが、明石市教委としては「学校給食試食会」と整理し市民への学校給食への理解を深めることを前提として整理されています。