11月7日(土曜日)、宝塚市の末広中央公園で、宝塚市のおいしい給食大試食大会が開催されました。
学校給食を多くの家庭でも食べてもらえるようにとクックパッドでレシピを公開したところ、多くのアクセスがありました。 それに併せて今回の給食試食会ではクックパッドに掲載しているレシピの中で最も検索数が多かった「きな粉揚げパン」や、「ポークビーンズ」などの人気メニュー12品が振舞われました。 試食会以外にも、給食調理員による食育劇やパネル展示、工作コーナー、調理に使った西谷野菜の直売もあり、多くの家族客で賑わいました。
当日10時30分に揚げパンの配布が始まる予定だったのですが、早くからに長蛇の列ができていたため、配布開始時刻も前倒したようで少しずつ前に進んでいきました。 並んでいた 西宮市から来たという女性は、「昔給食で揚げパン食べたことがあったので、懐かしくてまた食べたくなったので来ました。」と話していました。
揚げパンは衛生管理上、会場できな粉をまぶすことができないのでフライヤーで揚げたコッペパンとビニール袋入りのきな粉をいただき、自分でまぶす方式になっています。 従来は給食室できな粉をまぶした揚げパンが提供されます。
給食調理員さんは「宝塚市では月に1度は揚げパンが提供されていて、小学校ではきな粉揚げパン、中学校ではアーモンド揚げパンを提供しています。 暑い時期は調理員も大変ですが、子どもたちが喜ぶので」と話していました。
きな粉揚げパンを食べ終えた来場者は、11時30分から提供される、さんまのかば焼き、チキンのクリーム煮、鮭ときのこのご飯、ホタテご飯、ししジューシーなど、各ブースの前に待機し列を作っていました。
その間、宝塚市のおいしい学校給食大試食会。学校給食調理員による劇もあります。 「お母さんと一緒」に出てくる歌のお兄さんとお姉さんのように滑舌がよく、歌が上手な学校給食調理員がいてびっくりしました。
当日、披露された「給食レシピピコンピューター」の動画がYoutubeにアップされていましたのでご覧ください。
今回の公演、劇団「からっぽ大作戦」の食育劇「給食レシピピコンピューター」は7作目。 クックパッドでレシピ公開後最もビュー数が多い揚げパンの作り方をレシピピコンピューターが教えてくれます。 それを元に学校給食調理員マンが実際に作ってくれる、というもの。 きな粉に塩を少しだけ入れると、甘みが際立つというのがポイントだそうです。
宝塚市では、学校給食の調理員が、好き嫌いをなくし、何でも食べられる子どもたちになってほしいとの願いから、台本、衣装、小道具などもすべて手作りの食育劇を企画・制作・公演しています。 また、学校給食は児童生徒だけでなく、市民の体づくりや健康のために、栄養価とバランスに留意した学校給食のレシピを知ってもらい、家庭での食事に取り入 れたり、参考にしてほしいという基本的な考えがあり、クックパッドでのレシピ公開や、今回のような試食会を開催しています。
今回の試食、それぞれレシピがもらえます。 今回の試食会でいただいたのは、ほたてご飯、鮭ときのこのご飯、ししジューシー、味噌けんちん汁、大学いも、里芋の揚げ煮、チキンのクリーム煮、さんまのかば焼き、ポークビーンズ、里芋の揚げ煮、黒豆とかえりちりめんの胡麻まぶし、オレンジかん。 揚げパンと合わせて12品。なんと多彩なのでしょう。 なんと大盤振る舞いなのでしょう。 調理済のものをテントの中で紙やプラスチックの容器に盛り付け提供していきます。
家族客が多かったですね。それぞれお目当の給食を受け取り、芝生の公園でシートを広げて味わっていました。 ちょっとした青空給食のようです。 雨が降らなくてよかったです。そして寒くないというのもとてもよかったです。
試食会の途中で中川市長も登壇、来場者に「学校給食は宝塚市の最大のセールスポイントです。 どうかこの機会に学校給食への理解を深めて下さい」とアピール。 その後も給食を楽しんでいる家族に声をかけていたのが印象的でした。
ところで、これだけのイベントを打てるのは何故なのかが以前から最大の疑問でした。 昨年はカレーの試食会をやっています。 費用面、実行力、参加している約50人の調理員のモチベーション。 やりたくてもできない自治体が殆どです。 あるいはやる気もないところもあるでしょう。 何故宝塚市はできるのか。
理由を探ってみました。
会場整理の警備員だけで15人。試食は合計1万食(品)。 どれだけコストをかけているのでしょうか。 いくらかかっているかはわかりませんでしたが、これらの費用については国の「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を活用していることがわかりました。
モチベーションについては先ほど触れましたが「学校給食を児童生徒だけでなく、市民の体づくりのために役立ちたい」という思いがあります。 それが自分たちの仕事であると考えていてそれがモチベーションになっています。
もうひとつは危機感です。
調理業務の民間委託の波が宝塚市にもありました。しかし市長がそれをさせませんでした。 宝塚市の学校給食の存在感が出てきたのはそこからでした。 ブログで の情報発信、食育劇の公演、動画のアップ。それらが新聞記事になり、市民がその活動を知るようになります。 そしてクックパッドでのレシピ公開に繋がりました。 すると、市民は「いいね」と思い始めます。 そして民間委託の話もフッと消えていきます。 この広報戦略がとてもうまくいったのです。
しかし、それにしても、毎日の給食調理という激務をこなしながら、よくできるなぁ、という大きな疑問が残ります。いつ誰がやってるの?と。
宝塚市では学校給食に係る所掌は教育委員会管理部管理室学事課で行っています。 そこの専従スタッフが仕事として食育劇の制作も行い、クックパッドへの投稿も行っていました。
今回の大試食会。興味深いのは栄養士が参加していない点です。学校給食調理員約150人のうち約50人が参加。 そう教えて下さった歌のお兄さんのような調理員さんに「栄養士は蚊帳の外ですか?」尋ねると「いやいやそんなことはないんですが」と。
今回は学事課長さんにも、お会いしてお話を聞かせていただきました。 これだけの広報戦略が功を奏しているのですから、互いの切磋琢磨のためにも、東の 足立区、西の宝塚市という対立軸を演出しながら戦ってみせるというのはどうでしょう、という提案もさせていただきました。
今回は、試食会、や食育激だけでなく、いわゆる学校給食展らしい展示もテントの中で行われていました。 学校給食の移り変わりはレプリカで、主な献立の紹介はポスター展示で行われていました。
宝塚市での地産地消の取り組み、旬を生かした和食の良さ、海藻と海藻を使った献立の説明、行事給食の紹介などの展示がありました。
宝塚市が屋外で不特定多数を対象とした給食試食会を行うのは今回で2回目。 前回は平成26年7月27日に末広中央公園で開催された学校給食カレーの試食会です。学校給食のメニューである4種類のカレーの試食会を行いました。2千食の試食が約1時間でなくなりました。
屋外で誰が来ているのかわからない状況で給食を提供することによるリスクにはどのようなものがあるでしょう。大きなものとしては食中毒が挙げられます。 中には持って帰って食べようと思うひともいるかもしれません。 調理後2時間以内喫食の大原則が担保されません。
屋外での配膳、喫食も冷や汗ものです。異物混入のリスクもあります。学校行事として行われる青空給食でさえ栄養士さんは心配しています。
想定可能なリスクと想定しえないリスクとを天秤の片方に載せ、一方に、このイベントを行うことによって得られる効果を載せてエイヤっと測った時に、効果の方が大きいと判断したのでしょう。 もうひとつは何かあった時に誰が責任持つの?という点で、宝塚市の場合は市長の存在が大きいと思います。 そして宝塚市の次のアクションが楽しみです。
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