さわやかな風と鮮やかな新緑の季節に、三重県の伊勢市立厚生小学校へサミット給食の取材に行ってきました。
伊勢には、「お伊勢さん」「大神宮さん」と呼ばれる伊勢神宮があり、正式には「神宮」と言います。神宮には、皇室の御先祖の神と仰ぎ、私たち日本国民の大御祖神として崇敬を集める天照大御神をお祀りする「内宮」と、衣食住を始め産業の守り神である豊受大御神をお祀りする「外宮」を始め、伊勢には125の宮社があり、すべて含めて「神宮」と呼んでいます。
外宮から10分ほど歩いた場所に「伊勢市立厚生小学校」があり、教室の窓からは、豊かな大自然が広がっています。
アテネ五輪金メダリストの野口みずきさんの出身校でもあり、文武両道で豊かな心と確かな学力を持ち、互いに学び合う教育を行っています。
伊勢市立厚生小学校の西村校長に、サミット給食や日々の食育に関するお話を伺いました。
西村校長は、厚生小学校の児童が、学校給食を通し、栄養バランスの整った、安心・安全な給食を、毎日楽しく食べてもらえるような環境づくりに力を入れています。
サミット給食では、普段の給食では味わえない海外の料理を提供する事で、異文化を知り、もっと広い視野で世界に興味を持ってもらえるよう、学校全体で食育に取り組んでいます。
校長先生の大好きな給食は、伊勢市の秘伝カレーライス。
伊勢市学校給食のカレーは、こだわりの手作りルーや、セロリ、ニンニク、ショウガなどの入った、スパイシーなカレーです。
毎朝7時45分から調理が始まります。
本日の献立:麦ごはん、ミラノ風カツレツ、ミネストローネスープ、ゆで野菜、牛乳です。
ミネストローネは、野菜の食感が少し残るように、柔らかいキャベツは、最後に入れるなどの工夫をしています。
調理場は、ミラノ風カツレツの芳ばしい香りが立ち込めています。
粉チーズ・バジル粉がまぶされたカツは、さっくりと揚がっています。
毎食、360名分の給食を、女性の調理師さん5名で担当しています。
ゆで野菜は、しっかりした味付けのミラノ風カツレツに合うように、優しい塩分濃度で、とても美味しいです。
右の写真は、ゆで野菜の配缶をしています。
6年1組、2組のクラスを見学させていただきました。
盛付前は、手洗いの歌が流れ始めます。その曲に合わせて、皆さんしっかりと手洗いができています。
伊勢志摩サミット開催記念の特別献立が給食で提供されることにより、児童同士での会話や、家庭でのコミュニケーションが増えているようです。
6年生の皆さんに、毎日の給食で好きな料理を聞いてみると、驚くことに・・・
- キムチチャーハン
- チキンライス
- カレーライス
- わかめご飯
と、ご飯を使った料理が好きという児童がほとんどでした。
伊勢市の学校給食では、伊勢市産コシヒカリを使っています。
伊勢神宮では、稲が芽吹き、そして稔るという稲作の周期と共に、年間1500回に及ぶお祭りが行われています。
お米は、単なる食料として扱うだけでなく、「神と人を結ぶ」お供え物という意味合いもあり、食育を通じて児童たちにも伝わっているようです。
伊勢市立厚生小学校のPTAも、「PTAだより」に食育に関する特集を取り入れるなど、保護者に興味を持ってもらえるよう、力を入れています。
食を通して、家庭・学校・地域のコミュニケーションが広がり、ただ栄養をとるだけではなく、「心を育む食事」を心掛けています。
伊勢市立厚生小学校 栄養教諭の橋本先生にも、お話を伺いました。
「栄養教諭としてのやりがいは、やはり子どもたちが美味しそうに給食を食べ、美味しかった!!と、言ってくれる事です。家庭では、食べたことのない料理や、苦手な料理が食べられるようになり、子どもたちの成長に関わる一助になれている事に、とてもやりがいを感じています。」
三重県伊勢市は、「第10回 全国学校給食甲子園」の2054校の応募校の中、決勝大会の12校までに勝ち進んだ地域でもあります。全国学校給食甲子園への応募は、学校給食で提供している献立が条件となります。
全国学校給食甲子園でも、決勝に勝ち残った「肉みそひじきそぼろごはん」は、三重県産の新鮮なひき肉・野菜・ひじきを炒め、地元の豆味噌でしっかりと味付けをしたそぼろを、ご飯にのせて食べます。
その料理をお母さんに作ってもらいたいから、レシピを教えて欲しいという児童もいます。学校給食を通じて、家庭での会話に花が咲くのは、とても嬉しい事です。
全国学校給食甲子園について:http://www.kyusyoku-kosien.net/
「伊勢は、二千年の昔より、人々の幸せを祈り続けているところ」と、言われるように、海の幸、山の幸が豊富な環境で、栄養教諭の橋本先生を始め、西村校長、担任の先生方、地域の方々、皆さんで、給食を通し、子ども達の幸せを祈り、実践していることを、肌で感じることができました。
伊勢市立厚生小学校のように、「心を育む食事」により、もっと日本の学校給食がより良いものになるよう、私たちも頑張っていきます。
取材にご協力いただいた、伊勢市立厚生小学校の皆様、本当にありがとうございました。
最後に、サクサク衣の「ミラノ風カツレツ」のレシピをご紹介します。
とっても美味しく、ご飯がすすむ一品です。
【材料(4人分)】
・豚肉(トンカツ用)・・・4切
・塩・こしょう・・・少々
・小麦粉・・・大さじ3
・卵・・・1/2個
・パン粉・・・大さじ3
・粉チーズ・・・小さじ4
・バジル粉・・・少々
・揚げ油・・・適量
【作り方】
①豚肉に塩・コショウで下味をつける
②パン粉に粉チーズ・バジル粉を混ぜておく
③豚肉に、小麦粉、溶き卵、②のパン粉の順にまぶして油で揚げる。