◆「和食に合わない」牛乳なし給食に不満の声も(12月3日読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141202-OYT1T50034.html
12月1日から新潟県三条市の小中学校の給食から牛乳が休止されました。 昨年2月に行われた同市の学校給食運営委員会での決定を受け今年12月から来年3月までの4ヶ月間の牛乳を取りやめる試みです。
全国的なニュースにもなり、関係者だけでなく多くの人たちの関心が集まりました。 ネット上今回の牛乳休止を試行する最大の理由について、9月8日の市議会において、教育長が牛乳は三条市が推進している和食、一汁三菜の基本的なマナーを含めた和食に合わないという声が10年前から上がっていたため、今回いろいろな議論の上で12月から牛乳を試験的に休止したいと説明がありました。
三条市は週5日米飯を使用する完全米飯給食の市として話題になったこともありますが、完全に和食というわけではありません。 洋食としてアレンジして洋食、カレーも・・・カレーは和食でしたか?(笑) 米飯は和食はもちろん、中華にも、洋食にもどのようなおかずにも相性がよく自然と栄養バランスのとれた献立になり、またご飯とおかずを一緒に食べることで、食感や食味の幅が広がり味わい深くなる(口内調味)というのが三条市の考え方ですが、牛乳には寛容ではありませんでした。
教育長は2月といっていましたが、実際は11月に決まっていたようです。 栄養教諭、学校栄養職員の方ならおわかりかと思いますが翌年度の学校給食に必要な牛乳の数を新潟県教育委員会に申告する締め切りが11月末だったのです。 この時既に今回の牛乳休止を折り込んだ本数を申告していました。 本来ならば学校給食運営委員会での決定を受けて申告されるべき事項だったはずですがそれが行われていないまま、牛乳の本数は4ヶ月間の休止を前提として申告されていたのです。 その決定プロセスについて今年9月の3三条市議会でも追及されていたのですが、11月の牛乳申告本数は「暫定」だったと説明されました。 2月の運営委員会で否決されていたら年間従来どおりの必要数に変更するつもりだった、と教育長は述べています。
このニュース、受け取り方もさまざまで賛否両論あります。 やはり「ご飯に牛乳は合わない」とする方が多かったようですが、好き嫌いや、牛乳は自分の体に合わないといった方、さらには牛乳有害説に立った方もいらっしゃいます。 牛乳にご飯は合わないのはわかるが子どもの成長を助けるカルシウムを摂取するために牛乳は必要といった意見、酪農家さんへの影響も心配されていらっしゃる方も見受けられました。
さて、牛乳を休止中の間に牛乳に含まれるとされている各栄養価をどうやって補っていくのか気になるところですが、ですが、今月の三条市の給食だよりに献立の工夫として次のように書かれており、保護者に告知しています。
保護者のみなさまへ
12月から3月までの学校給食は、牛乳の提供を試行的に停止します。 栄養素の不足を心配される方も多いと心配される方も多いと思いますが、牛乳停止期間中も子供たちに必要な栄養量は。献立の工夫により従来どおり確保します。 さらにこれまで不足しがちだったマグネシウムや鉄、食物繊維も充分確保できるようになりますのでご安心ください。献立の工夫
①主菜(魚や肉のおかず)や副菜(主に野菜のおかず)の量を増加。
②手作りふりかけを月2回程度から週2回程度に増加。
③味噌汁の出しに煮干し粉を使用。
④ヨーグルトを週1~2回提供。
⑤中学生のご飯量をお米で5グラム程度増加。
※三条市裏館学校給食共同調理場平成26年度12月給食だよりから
実際の給食献立表も給食センター毎に開示されています。 それぞれの増加量がはっきりしませんが、興味を持つ栄養士さんは多いです。 これらの使用量なども含めて開示して欲しいものです。 そもそも学校給食に米飯が導入されたときに同じような議論があり、みんな一度は検討してきたものですが、やはり牛乳なしでは成り立たなかった、という結論に至った経緯があります。
その献立で気になるところがあります。
最初に取り上げた読売新聞の見出しでもわかりますが、今回の試行期間中は「飲み物」がありません。 お茶も水もありません。 牛乳なしで栄養価は維持できますが給食費は補完する食材に使われています。
お茶はやかんでお湯沸かして、淹れれば?という意見もあるでしょうか、設備や備品やカップなどを用意しなければなりませんし、試行期間中にそれを整備することもできないでしょう。 紙パックのお茶は牛乳の倍以上の値段しますからとても買えません。 現時点では児童・生徒に水筒持参してもらうというのが、最大公約数的な解決策になるのではないでしょうか。 これも試行なのですからなんでも検討すればよいと考えます。
それから、ヨーグルトは和食に合うんでしょうか。 どうも解せません(笑)。 とはいえ、SNSを観察している限りでは、ヨーグルトに反対するひとが少なかったのも事実です。 デザートは別腹なのかもしれません。
三条市の国定市長は、今年の子ども議会の中で、千年もの和食の歴史を得た上で2014年の時点では「牛乳は合わない」ということであって今回の試行に至ったものだと説明し、子供たちが考えて和食に牛乳が必要だということであれば、それを発信してほしいと答弁していました。 学校給食には牛乳がついているもの、という常識を一回取り払おうというのです。
いずれにしても、学校給食はその設置者である市町村に自治であります。 三条市のことは三条市で決めていくことが正しいのですが、この検証の結果が全国にどのような影響を及ぼすか、大変注目されています。