台風が二週続いてやってきましたが、山では紅葉が始まり、いよいよ秋めいてきましたね。 スポーツの秋、芸術の秋、もちろん食欲の秋でもあります。
さて、10月11日、12日の2日間、洋野町の岩手県立種市高校で文化祭「種高祭」が開催され、同校の海洋開発課の実習棟で南部もぐりのヘルメット潜水を体験してきました。 種市先輩の南部もぐりです。 覚えていますか? 北三陸高校のモデルなった高校です。 同校は工業系の潜水技術者を育成する全国唯一の学科「海洋開発科」を設置、卒業生は国内外で活躍しています。 また、授業では同町種市地区に伝わるヘルメット式の潜水技術「南部もぐり」を学んでいます。 今回は海洋土木だけではなく、ウニやホヤなどの水産業の分野で活躍するヘルメット潜水の体験を通じて食育の実践をしようと考えたのです。
種市高校は、青森県の八戸駅からJR八戸線で岩手県の久慈方面に約1時間ほど揺られて平内(ひらない)駅で下車し、徒歩15分で到着します。 意外とアプローチしやすいです。 ただし、八戸から久慈行きの列車の本数が少ないのでお気をつけください。
種市高校に到着したのは昼前でした。 朝早くに八戸市へ到着し、市内の第一、第二魚市場を見学していたら、久慈行きの列車に乗りそこなってしまったのです。 昨年は「あまちゃん」ブームで大盛況だったと聞いていましたので、今年も順番待ちが大変であろうと覚悟していたのです。 文化祭は2日間。 初日の土曜日に体験できなかったら日曜日にチャレンジしようと予備日も考えていました。
これが潜水実習棟の建物です。 建物の周りでは文化祭らしく生徒たちが焼きとりやいか焼きを焼いていました。 朝食を摂っていなかったので、おなかがすいていたところに、おいしそうなにおいがたまりませんでしたが、こちらはどこで潜水体験を受け付けているのかとキョロキョロして探していました。
あぁ。 「るいがとひなきす」の窓がありました。 切なくなりますね。 実技プールの周囲に見学窓からあって、ヘルメット潜水の様子を伺うことができます。 緊張してきました。
実習棟の中に入るとすでに潜水体験が行われていました。 プールは1メートル、3メートル、5メートルと段階的に深くなっていいます。 ここが、あの海洋土木科(リアルでは海洋開発科)なんだなぁ、とウロウロしているところに、順番が来て名前を呼ばれました。 潜水するときの格好に着替えます。 とはいっても、自分で持参するのは、手ぬぐいと、タオルくらいです。 あとは学校が用意してくれています。
まず手ぬぐいで頭に鉢巻します。 着ていった服の上に思い鉛の装備を受けるためにクッション性のよい毛布のベストを身につけ、南部もぐりようのドライスーツを足から着込み、片足で重さ7キロの靴を履きます。 そしてヘルメットを装着する時のアタッチメントを首周りに装着して、きっちり固定します。 その状態で一番手前の水深1メートルにはしごをかけて、体を入れていきます。 両足ともにはしごに掛けたら、プールサイドに身を乗り出してさらに重りを首と背中にぶら下げ、ヘルメットをかぶれば南部ダイバーのできあがりです。
重りは全部で70キロあります。 これが地上であればその場で腰を痛めそうですが、水中ではそんなに苦ではありません。
ヘルメットにはマイクとスピーカーが仕組まれています。 地上(船上)のインストラクターがモニターを見ながら、どのように動けばよいかを指示してくれるのです。 「空気を抜いて沈んでみましょう」、「右を向いて進んでください」など、水中の南部ダイバーに話しかけるようになっています。 水中に入る前にヘルメットの右後ろについているピストンを頭を動かして排気する練習をして、いよいよ潜水を始めます。
ヘルメットには常に空気が送りこまれています。 この空気を貯めれば浮力がついて上昇します。 潜水するときは空気を抜くことにより沈んでいきます。
「それでは、3メートルまで沈んでみましょう」。
いよいよです。 中では生徒さんがスキューバダイビングの装備を身につけて、体験するひとたちをしっかりとサポートしてくれます。 みんな親切に手伝ってくれました。 1メートルのプールから3メートルのプールへ、ぶくぶくと空気を抜きながらゆっくり沈んでいきます。 このときに排気をずっと続けているとプールの水がチョロチョロと入ってきますが、特にびっくりしてパニックを起こすこともありませんでした。
背中の空気送るホースが一度腰を巻いてからヘルメットにつながっているのがわかりますね。 背中につけた重りも見えます。 そして3メートルの深さまで潜るために空気をボコボコと抜いているのもわかります。 ドライスーツも空気を貯められるように大きめに作られています。
この水深でも潜ろうとすると水圧がかかりますから、耳抜きをしなければいけません。 インストラクターが鼻をつまんで「耳抜きしてください」と教えてくれています。 頑丈のヘルメットで頭にかぶっていますから、こちらは鼻をつまむわけにもいきません。 「んんっ」と耳抜きをしたら、まぁまぁうまくいきました。 「カップ被れば魚の仲間」と頭のなかで歌っていましたが、空気を抜きながら沈み、耳抜きをしっかりすれば魚の仲間になれるようです。
3メートルのプールのそこに到着しました。 それでも時々、空気を抜かないとドライスーツに空気がたまり、上昇を始めてしまいます。 種市先輩のことを思っていてはいけません。 そして空気を抜いていれば、プールの底を踏みしめて歩くころができます。 これがなかなか難しく前に進まないのです。 手で平泳ぎのように水中をかいてゆっくりと前に進んでいきます。 今回の南部もぐり体験では、生徒さんに防水のカメラを預けていたので、潜水中の様子をカメラで撮影してくれていました。
意外と余裕があるようでいて、余裕がありません。 ヘルメットの中のマイクをスピーカー通じて地上のインストラクターと会話ができるのですが、水中に入るとインストラクターの指示を聞いていたものの、自分は黙ったままでした。 いや、答えていたのかもしれませんが、記憶がありません。 「南部ダイバー」も歌えませんでした。
今回の南部もぐりは何分だったのかもよくわかっていません。 10分から15分くらいでしょうか。 あっというまに終わってしまいました。 とても面白かったです。 このような水中で空気の量を調節しながらホヤを採集をしていたんですね。 地上に上がるときは、空気を貯めればあっという間です。
南部もぐり体験はとても面白いです。 そしてヘルメット潜水は、水中ではひとりですが、チームワークが重要であることがわかりました。 気になった方は来年の種市高校の文化祭へ行って体験してみてください。