この時期になると、全国の大学で学園祭が開催されていますので、遊びに行ってきました。 学校給食と関係あるの?という疑問もごもっともです。 よく聞かれます(笑)。
それでも、農業、水産、畜産に関連する学部や栄養士養成課程のある学校が現在どんなことを勉強しているか、ということについて覗いてみたり、将来、日本の食を担うこともあろう若者たちを眺めながら「青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ」とサミュエル・ウルマンの詩をつぶやいてみたり、いろいろできます。 今までになかった食育を考えつくかもしれません。 実際に何らかの形で学校給食に携わるひとたちもいるでしょう。 そういうひとたちと今のうちに話をするのも悪くないと思います。
というわけで、今回最初に訪問したのは東京海洋大学品川キャンパスで行われた「海鷹祭」です。 天気はあいにくの雨。 いえいえ恵みの雨です。
海洋大学に到着したらまずは新鮮なマグロを使った漬け丼を味わってください。 話はそれからです。 マグロの解体ショーからの即売会も海鷹祭恒例の行事です。 もうここで食育ができてしまいます。
解体は築地のプロの方が担当されます。 お話を聞くのももいいと思います。 このマグロの漬丼は実行委員会が担う、海鷹祭の要であり、そのノウハウは連綿と受け継がれています。 今年は新たに荒汁も作って販売されていましたね。 雨が降って寒かったのでちょうどよかったのではないでしょうか。
海洋大でチャレンジしたのは海藻の 海藻押し葉標本作製です。 押し葉標本の作製を通して、海藻の形態の多様性を学びます。 好きな海藻を選んでケント紙の台紙に乗せピンセットや竹串でで葉を広げて乾燥させパウチすれば出来上がりです。
この他にも、魚類の透明標本の体を解剖しながら海洋の中の「食う食われる」の関係や、スルメイカの解剖を通して生き物の体の見方、プランクトンには様々な分類群の生き物が含まれていることなど体験学習するプログラムがあります。 海洋大ならではの食育だと思いませんか?
申し訳ございません。 個人的には海洋大の透明骨格標本を買いに行くのがが目的です。 透明骨格標本とは、生物の骨格を観察するために様々な染色法を用いて作製される標本のことです。
小型の魚類や発生途上の胚では骨格標本の作製はとても困難です。 その点で透明骨格標本は、骨格間の立体的配置、骨化の進んでいない軟骨組織、微細な骨格要素を損なうことなく、観察することができます。 食育にご利用いただくのもよろしいかと存じます(笑)。 またとてもきれいなものでインテリアとしてもいいと思います。 今回も無事にかわいい子だちを購入することができました。
さて、河岸を変えましょう。
同じ日に午後から訪問したのは、女子栄養大学短期大学部・女子栄養大学・香川調理製菓専門学校の第45回駒込祭、第40回作品展です。 「駒込祭」は、昭和26年、企業の社員寮などを訪問しては栄養指導を行っていた学園の学生が、もっと幅広い人々に食生活の大切さを知ってもらおうと開催した「栄養展」が原点であり、毎回、食・栄養・健康にちなんだテーマを掲げ、取り組んでおられます。
雨は降ったり止んだり。 人が少ないからいいか、と思いきや、やはり人気の料理やお菓子を出すレストランや喫茶店は早々に売り切れてしまいます。 狙いは定めていきましょう(涙)。
駒込祭での体験は初めてマジパン細工にチャレンジしました。 製菓科の学生さんが先生になって、マンツーマンで親切に教えてくれます。 マジパンは粉糖とアーモンドを挽いて練りあわせた、餡のような食感のある菓子で独特の風味があります。 シュトーレンの中にも入れたりしますし、細工してケーキの装飾にも使われていますね。
粘土細工のようなもの、と言えばそのとおりですが、それさえ数十年ぶりです。 コロっとしたマジパンで何ができるというのでしょうか。
っと、工程もじっくり見ていただきたかったのすが、かなりショートカットしてライオンくんのマジパンが出来上がりです。
初めてでしたが、先生の教え方がいいんでしょうね。 それなりにできるものです。 所要時間は15分くらい・・・。 いや、、写真の中の情報を調べてみました。 正確には25分です。 日本ではマジパンをこのように工芸菓子に使うことが多いみたいですね。 調理実習でも、こんなにかわいいキャラクターを再現するのも面白いかもしれません。
さて。 展示発表もありました。 和食と、洋食どちらっが健康的?という少々荒っぽいテーマもありましたが、どちらも添加物の含む加工食品をできるだけ使わず自作するのが一番という結論に至っていて安心しました。 また、子供向の食育の実践として来場者の子供たちに授業を行っていました。
いまさら学園祭?という方は、学祭と言えば屋台が出ていて、売り上げは全部団体のコンパ代になって、ミスコンがあって・・・というイメージがあろうかと思いますが、その専門分野の教育現場の最新情報を収集したり、あるいは大学の社会的役割について考えてみる良い機会になるであろうと思います。 11月下旬まで各地で行われていますので、お近くの学園祭を覗いてみてはいかがでしょうか。