1月22日木曜日、町田市の学校給食展へ行ってきました。 全国学校給食週間に先立ち1月19日から23日の5日間、町田市役所1階のイベントスタジオで「町田の学校給食からはじまる子どもたちの未来」をテーマとして開催されたものです。
実物展示やパネル展示で小学校食の変遷や給食を活用した食育の取り組みなどについて、分かりやすく紹介されています。 そして、今回初めての取り組みとして、市役所の食堂の協力によって小学校で人気のある「きな粉パン」が販売されていました。
左の写真は町田市の当日の小学校給食展示です。 期間中当日の給食が正午頃に市役所に届けられます。
前回は東村山市の学校給食展示会を見に行って小学校全15校の給食実物展示でびっくりしました。 会場にいらっしゃった町田市の教育委員会の方にもそのお話を差し上げたらやはりびっくりされていました。 町田市は小学校が42校あります(笑。 しかし、町田市もまた違った面白さがありました。
町田市の小学校42校、自校単独調理による完全給食を実施しています。 各小学校に栄養士が1名配置されています。 独立献立です。 その42校全ての1月の給食献立表が掲示されていたのです。 これはすごいことです。
献立表の掲示、特にこのように貼っていくと漫然と見られがちですが、ひとつひとつじっくり見ていくと実に面白いものです。 同じ様式がありません。 独立献立とは、給食献立表も独自なものなのです。 42人の栄養士さんがいれば42通りの献立表があるのです。 もちろん、その学校での歴史によるものかもしれません。 ずっとその形だったということもあるかもしれません。 それでもやはり給食献立表は栄養士さんの魂がこめられています。 給食への思いを表現するアートでもあります。 例えば、限られたスペースにかわいいイラストを貼っている栄養士さんもいらっしゃいます。 あぁ、好きなんだろうなぁと思えてきます。
例えば、42校のうち唯一手書きの献立表がありました。 献立の内容とあわせて、どんな栄養士さんなんだろうと想像していまいます。 献立は手書きで子どもたちに伝えたいと強い意志があるのかもしれません。
例えば、こちらの栄養士さんは献立表の下に「放射能がご心配な方は、学校へ申し出てください。お弁当持参も可能です。」と書き添えていらっしゃいます。 なるほどなぁ、と思いました。 こちらも栄養士さん、校長先生のお考えなのでしょうか。 自校単独調理の場合、学校給食の現場における責任者は学校長になります。
これまで献立表の写真を見てお気づきのとおり、学校給食週間を中心に写しております。 この時期は皆さん知恵と経験を活かして特に力を入れているでしょうし、それぞれ並べて比較してどんな主旨があるんだろうと眺めてみると楽しいです。 こちらの栄養士さんはベトナムへ行って食べものがおいしかったのかなぁ、と想像してしまいそうなくらい本格的です。
こちらの学校では、学校給食週間に郷土料理を持ってきました。宮崎県の「おび天」、八戸の「せんべい汁」、福井の「打ち豆汁」、奄美の「鶏飯」。 おそらく家庭ではめったに出てこないものばかりだと思います。
一方でこちらの学校は、郷土料理でも地元東京の郷土料理にこだわっていらっしゃいます。 初日は日本の学校給食の始まりといわれている鶴岡市の明治時代の給食再現で、以降は、東京都の郷土料理のちゃんこ汁、深川飯、八丈島バーガー、おでん等がピックアップされていますね。 ん?八丈島バーガー?
さて。 その他の展示も紹介していきましょう。 食器の変遷も転じされていました。 現在町田市で使用されている学校給食の食器は強化磁器です。 アレルギー対応食の場合も強化磁器ですが、いい色ですね。
絵本&給食のイベントもあるようです。 絵本「かぼちゃスープ」では、ネコとリスとアヒルの三人が、いっしょに住んでいました。 三人が毎日決まった手順で作るかぼちゃスープは世界一の味です。 ところがある朝、あひるが「ぼくがスープをかきまぜる」と言ったので、三人は大げんかになります。 そんなかぼちゃスープが給食に出てきます。
調理機器の展示で特筆すべきはこの仕切り機。 ハンバーグも加工品でなく手作りにこだわります。 一方で学校給食ですから均等に分けなければいけません。 しかしひとつひとつ重さを測ることもできません。 そんなときにこの仕切板を縦横にむんずと押し込んでタネを切り分けるのです。 しかし、これにも熟練の技が必要らしく、教育委員会の担当さんも試してみたものの、栄養士さんにしかられたそうです。
給食運搬用ワゴンも出動していました。 それにしても便利な世の中になりました。 山根君もカレー食缶をぶっちゃけることもなければ胃痛も起きません。
この春から町田市で初めて小学校調理業務の民間委託が始まります。 栄養士さんも初めてのことなので大変そうです。 事務局である教育委員会もそのフォローをしていてそれも大変そうです。
ところで、町田市では中学校給食は選択制のデリバリー弁当です。 利用率は3割くらいでしょうか。 低下傾向にありますのでPRにもチカラが入ります。 安心・安全をアピールします。
そして、市販の弁当と中学校給食の栄養価の比較をレーダーチャートで示していました。 実践的なアピールです。 市販のお弁当では食物繊維や鉄分が不足するんですね。
そして、中学校給食のデリバリー弁当がどのように作られているかというビデオ上映もありました。 右の写真は盛り付け後の給食を金属探知機で異物混入をチェックする様子です。
当日のデリバリー弁当も展示してありました。 この日は発酵乳。 ジョアと言ってはいけないそうです。 それにしても、はい。 おいしそうです。 期間中のうち19日、21日、23日の3日間は中学校給食の給食のおかず1品が試食できたのですが、訪問したのは22日でご相伴預かることはかないませんでした。 もし試食会があったら呼んでください。お願いします。
今回は献立表に込められた栄養士さんの思いを並べてみることができてとてもよかったです。