平成28年6月11日、12日に、福島県 郡山市で開催された、「第11回食育推進全国大会 in ふくしま」に行ってきました。
郡山市は、福島県三地方、浜通り・中通り・会津のうち中通りにあり、福島県のほぼ中央に位置しています。
現在「食育推進全国大会」は、農林水産省が主催となり、毎年6月の「食育月間」に開催されます。食育推進運動を重点的、効果的に実施する全国規模な行事です。食育に関する理解と関心を深め、国民の健全な食生活と豊かな人間形成に大きく寄与することを目的として開催されています。
第11回食育推進全国大会in ふくしまのテーマは、
「チャレンジふくしま!おいしく たのしく 健康寿命~復興のあゆみ。全国のみなさまへ 感謝の気持ちを込めて~」です。
2011年3月11日の東日本大震災から5年が経過し、力強く復興する福島での「食育」イベントとなります。
「第11回食育推進全国大会 in ふくしま」
http://www.syokuiku2016.com/index.html
農林水産大臣 森山裕様より開会のご挨拶です。
今回のイベントは、下記の「第三次 福島県食育推進計画」の施策のもと行われています。
1.健康な心と身体
家庭や学校、地域が一体となって、「健康な心と身体」を育むための食育を推進します。
2.豊かな心
農林水産業や食産業等の体験や交流を通じて食文化を継承するなど、「豊かな心」を育むための食育を推進します。
3.強く生きる力
東日本大震災や原発事故の経験を踏まえ、食の安全・安心に向けた判断力や行動力を促進するなど、「強く生きる力」を育むための食育を推進します。
福島県立いわき総合高等学校のフラガールによる、フラダンスも披露されました。
①体験型
②参加型
③試食型
の3つのコンセプトで構成されています。
《体験型イベント》
展示コーナーには、約120団体が参加されていました。
来場者が楽しめるように体験型のイベントも多く、子ども達も興味津々!
上手にお箸を使って、大豆を移動できるかな?
テーブルに肘をつかない等のルールを守りながら、1分間に何個大豆を移動できるか競うゲームです。
食事作法の改善を、楽しみながらできるため、みんなすごい集中力を発揮しています!!
福島県民のソウルドリンクと言っても過言ではない、生乳50%で濃厚な「酪王カフェオレ」。現在では、首都圏でも人気が出ており、震災後でも、売れ行きが伸び続けている奇跡的な商品ともいえます。
(株)酪王の体験コーナーには、牛の乳搾り体験ができるレプリカもありました。
牧場や牛への興味関心を高め、命の大切さ・命の感謝へとつながります。
かつお節、まぐろ節、そうだ節、さば節などの食べ比べコーナーもあります。それぞれ味や舌触りが異なり、大人も楽しんで食べ比べをしています。
かつお節の起源は、日本最古の文献「古事記(712年)」に「堅魚(かたうお)」と記載されているように、日本古来からの伝統的な発酵食品なのですね。
《参加型イベント》
フジテレビの人気番組『料理の鉄人』で、大活躍した中華料理人 陳健一さんが麻婆豆腐の実演しています。
麻婆豆腐に使用される、「豆板醤」は、そら豆・唐辛子を主原料に作る、中国の発酵調味料です。長く熟成されたものほど、唐辛子の赤色が焦げ茶色になり、辛さがマイルドになり、まろやかさが増すそうです。
食材一つ一つにこだわった料理人の熱意に、参加者も引き込まれている様子です。
「和食給食応援団」とは、2011年より農林水産省が主催となり、『学校給食を通じて、未来を担う子供たちに「和食」の素晴らしさを伝え、20年後の家庭の「和食」を育てる』ことをコンセプトとして活動しています。
①和食給食 献立開発サポート
②学校に訪問しての調理
③児童への食育授業
この3つの活動を全国各地の学校で行います。
日本料理店 「賛否両論」で有名な笠原将弘さんを中心に、和食給食の推進に向けて取り組んでいます。
「和食給食応援団」HP
http://washoku-kyushoku.or.jp/
「平成27年度 スーパー食育スクール」の報告会も行いました。
新地町立新地小学校による「震災後の学校における食育の課題 解決に向けた取組」の報告を行いました。東北大震災・原発事故の影響により、地場産物の使用を敬遠し、また体力低下や肥満傾向児の出現率の増加などの健康課題についての発表を行っています。
学校給食で使用する一食分の食材を、フードプロセッサーで細断し、毎日放射能検査を行っています。風評被害に流されないよう、安全管理体制を確立し、安心・安全な学校給食を提供できる取り組みを行っています。
三春町立三春中学校は「震災後の食生活と個々の健康課題に応じた食育の実践」について報告しました。
身体測定の結果や食生活に関するアンケートのデータをもとに、児童一人一人の食事摂取基準値と、学校給食での摂取量を比較し可視化することで、バランスのよい食事を知ることができます。
学校給食の摂取量は、一日に必要な栄養量の33%となるため、児童は、学校給食を基準とし一日の食事を考えて食生活の改善へと繋げることができました。
《試食型イベント》
イベント会場の外では、約30団体による飲食コーナーがあり、とても賑やかです。
私も、福島の郷土料理を沢山いただくことができました。
くじら汁は、会津に古くから伝わる郷土料理のひとつです。くじらの脂身、大根、人参、ジャガイモ、ねぎ、豆腐を煮込み、味噌で味付けをします。くじらの脂身は、臭みもなく、あっさりとした豚汁のようで、とても美味しかったです。
会津若松市の小学校給食でもくじら汁が提供され、子供たちも郷土料理や伝統的な食文化について学んでいるようですね。
しんごろう
しんごろうは、半搗きのご飯をまるめ、串にさし、じゅうねん味噌(自家製の味噌にエゴマ、砂糖、酒を混ぜ合わせすり鉢ですったもの)を塗って囲炉裏で焼いた、会津地方の郷土料理です。五平餅のようで表面を芳ばしく焼き上げ、来場者の食欲をそそります。
会津のカツ丼といえば「ソースカツ丼」が一般的です。
千切りキャベツの上に、ソースをたっぷりとからめたカツ丼は、やみつきになりそうです。
キャベツ餅は、油で炒めたキャベツに醤油やだしを入れて煮込み、そこにお餅を絡めた料理です。
80年以上前から郡山市西部を中心に根付いており、自給自足の時代に、自宅にある食材でお餅をより美味しく食べるために誕生した料理です。
味のしみたキャベツとやわらかい餅との相性は抜群で、とても美味しかったです。
みなさんの素敵な笑顔で、キャベツ餅の美味しさも増しますね!
私は、今回初めて福島に訪れました。
Yahooサイトの「3.11、検索は応援になる。」によると、東日本大震災から5年が経過した現在でも、17万4000人もの避難者がいます。(2016年2月12日現在)
また、岩手、宮城、福島県の公立小、中学校の114校のうち、45%の51校が、いまだプレハブや他校・廃校などの間借りの仮設校舎で授業を受けているのが現状だそうです。
福島原発事故後の放射線による食に対する不安や、風評被害を払拭できないなど課題が山積みの中、児童・生徒が安心して学校給食を楽しむことができるよう、福島の栄養教諭は取り組まれていることを肌で感じることができました。
このように、「給食ひろば」の給食・食育取材レポートでは、私たちが目で見て感じた情報を提供し、日本の栄養士さん一人一人の心に届くよう、今後も励んでいきたいと思っています。
「3.11、検索は応援になる。」