8月17日(水)に、三重県四日市市に工場を構える幸栄ベーカリー株式会社へ工場見学にうかがいました。こちらでは、三重県内の学校給食用のパンや、菓子パン、食パン類を製造されています。工場は24時間稼動しているため、学校給食用のパンは出来立てを提供できているとのことです。生産設備の充実と、得意とする「冷蔵発酵法」により、多品種少量生産から、単品多量生産まで幅広い対応が可能とのことでした。
幸栄ベーカリー株式会社では、「AIBフードセーフティ指導・監査システム」を導入しています。AIBとは、安全な食品を製造するために、とらなければならない行為のガイドラインであるGMP(適正製造規範)を重視した食品安全管理システムです。また、平成25年11月には、県知事より食品衛生優良施設の表彰を受けていらっしゃいました。
いよいよ、工場見学スタートです!
準備を整え、入室前の身だしなみから、パンの包装に至るまでの流れを見学させていただきます。作業室に近づくと、パンのとても良い香りが漂っています。それでは、パンの製造過程をご紹介致します。
〈 製造過程 〉
【納品】 … 外部との接触がある納品室は、工場内へ虫の侵入の危険性があります。
虫の侵入を最小限に抑える工夫をされていました。
【検品】 … 納品された商品を確認し、納品日を記録します。
発注担当者から検品担当者へ、発注内容の連絡がとれており、
漏れなく適切な食材が納品されているかしっかりと確認されていました。
【計量、配合】 … 強力粉や小麦粉を、計量・配合して大型のミキサーへ送ります。
ミキサーへ粉を送る機械は、1回に100kgも送ることが出来るそうです。
パンの種類によって粉の配合が異なる為、指示書に従って作業します。
【ミキシング】 … 2台の大型ミキサーを用いて、効率よく作業が進められていました。
1台で200kgもの粉を捏ねることが可能です。
計量された粉は、他の材料と一緒に捏ねられます。
【ねかし(第一次発酵)】 … 生地をねかします。
【分割】 … 分割機を用いて、生地を同じ重量になるように分割していきます。
分割機は2台あり、卵を含む生地、卵を含まない生地 (食物アレルギー用)
とで使い分けているそうです。
【丸め】 … 機械の上で転がせて、生地をきれいな玉状にします。
【ベンチタイム(第二次発酵)】 … 生地を休ませるとともに、
ガスを含ませてパン生地が膨らむ力を蓄えます。
【成型】 … 製品ごとの形に作っていきます。
【ホイロ(最終発酵室)】 … 温度・湿度管理を徹底している部屋で、発酵させます。
決められた温度・湿度で、1時間程度発酵させるそうです。
【焼成】 … 発酵させて膨らんだ生地を、オーブンで焼いていきます。
トンネルオーブン、ラックオーブンと、大型のオーブンが2台もありました。
製品によって、焼成時間が異なっています。
ロールパンでは8分、食パンでは34分もの違いがあるそうです。
トンネルオーブンでは、オーブンの中を鉄板がゆっくり移動していきます。
この時、鉄板の間が空き過ぎると庫内の温度が上昇して焦げてしまい、
オーブンの入り口前に焼成前の生地が溜まりすぎると過発酵になってしまいます。
そのため、焼成前の各工程は、焼成にタイミングを合わせて行う必要があるそうです。
オーブンの出口から、焼成されたパンが並んで出てくるのを見学させていただきました。
ぷっくりと膨らんで、香ばしく焼きあがったパンの香りがたまりません。
【冷却】 … 焼きあがったパンを、適温まで冷却します。
食パンは冷却に2時間ほどかけ、中心温度を確認し40℃以下まで冷まします。
【確認】 … 包装前の状態で一度、金属探知機を通して異物混入の有無を確認します。
【包装】 … 賞味期限や製造番号を印字した包装シートで、パンを包装していきます。
カメラで監視しており、賞味期限や製造番号のミス印刷を見つけた場合は、
取り除く仕組みになっていました。
【確認】 … 包装後に再度、金属探知機を通して異物混入の有無を確認します。
包装する商品を変更する毎に、鉄とステンレスのテストピースを用いて
機械の動作確認を行っていました。
【出荷】 … 販売に向けて、準備します。
安全に製造する目的で、これらの作業は完全に分担制です。焼成前の作業担当者が、焼成後の製品に近づくことはありません。また、品質管理として、社内で微生物検査を実施されているようです。
幸栄ベーカリー株式会社の皆様、ご丁寧に対応いただき誠にありがとうございました!