平成28年8月3日・4日に、大阪市で『第57回 全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会』が行われました。
8月4日の分科会では、第5・第8分科会にも参加してきました。
【第5分科会】
研究主題:
「学校と家庭・地域との連携を深めながら、学校における食育を推進するためにはどのようにしたらよいか」
・石川県輪島市立輪島中学校 栄養教諭 道畠裕子様
・大阪府堺市立百舌鳥小学校 栄養教諭 池田清恵様
の2名による「食に関する指導」について報告が行われました。
学校内のみの食育では、学んだことを持続して、個人の食生活で生かすことが出来ていないことが現状です。
児童に効果的な「食に関する指導」を進めていくには、児童の食生活の状況と課題を把握するとともに、それらの情報を共有することが大切です。
両校の栄養教諭は、地域・家庭と連携を深めるために、食育授業を学校内で終わらせずに、第一義的な役割のある家庭に持ち込んだり、市の農林課・観光課の協力を得て地域と連携のある食育授業を行う活動をしています。
例えば、児童が育てた野菜や、手作りの味噌を家に持ち帰り、家族と一緒に調理して味わう事により、児童から家庭への情報発信を促したりしています。また、地域の職人さんから直接、行事食・郷土料理・伝統品を学んでもらうなどの活動もしていました。
今回の取り組みを終えて、家庭での食育の必要性は感じてはいるものの、5割の家庭では時間や知識が足りないと感じていたり、また地域の教育力が、単発的な取り組みに終わってしまっている事などが課題としてあがりました。
今後、いかにして継続し、充実するか等も検討していく必要があります。
これからもあらゆる教育活動の場や地域の教育力を活用しながら、学校・家庭・地域の密な連携の中、家庭での食生活の向上も図っていく必要があります。
【第8分科学会】
研究主題:
「学校における環境・衛生に配慮した給食指導や食育の在り方はどのようにしたらよいか」
第8分科学会では、衛生管理面と食品ロスを減らすなどの環境面をテーマとしていました。現在では、日々の衛生管理や食品ロスに配慮した献立作りや、児童自らが食べ物を大切にする食育の進め方が課題となっています。今回、課題解決のために行った、取り組みの例が発表されました。
和歌山県日高川町立川辺西小学校 栄養教諭 松本知子様による「食に関する指導」について報告が行われました。
こちらの学校では、夏休みを利用して調理員向けに野菜の下処理研修を行ったところ、調理従事者が「食品ロスを減らそう」という意識を持ち、廃棄量も減少したそうです。
また、食育の取り組みでは「日高川町地産地消の日」を実施し、ジビエコロッケを提供したところ、残食がいつもより1%減ったそうです。
静岡県沼津市立原小学校 栄養教諭 久保田雪子様による「食に関する指導」について報告が行われました。
こちらの学校では、調理員が各教室を訪問し、児童に向けて、調理室での衛生管理の再現(中心温度の測定など)や解説をする取り組みを行いました。その結果、児童は給食配膳の身なりや片づけを見直し改善しようとする意識が生まれ、調理員は自身の衛生管理や食品ロスなどの環境について意識の向上へとつながったそうです。
両校では、栄養教諭を中心として学校・調理員・生産者など給食に関わる人たちを巻き込んだ取り組みを行っていました。毎日口にする給食だからこそ、周囲との連携、「安全・安心な給食」という共通の理解が今後も必要になると感じました。また、地場産物の使用や調理員との交流など、児童に興味を持ってもらえるような工夫がされていて、興味深い内容でした。
お昼には、「なにわの夏弁当」も提供されました。
大阪産の野菜や郷土料理をふんだんに使用した、鮮やかなお弁当でした。