厚生労働省では、平成24年11月に実施した「国民健康・栄養調査」の結果で、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)は約950万人、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)は約1,100万人と推計しました。このように、両者を合わせると推定患者数、約2,050万人となります。
糖尿病有病者のうち、現在治療を受けている者の割合は、男性65.9%、女性64.3%であり、男女とも年々増加傾向にあります。
通常、私たちは、食事から摂取した栄養は腸でブドウ糖として吸収され、血液を通って脳や筋肉組織でエネルギーとして使用されます。余ったブドウ糖は、肝臓・筋肉・脂肪組織に蓄えられます。体脂肪1㎏のサンプルも展示されていました。
膵臓から分泌されるインスリン(ホルモン)は、血液中の血糖を体内組織へ取り込むことが主な仕事ですが、糖尿病はそのインスリンの働きに異常が生じ発症します。
インスリンの異常とは、主に2つ挙げられます。
①インスリン分泌量の不足
分泌されるインスリンの量が必要な量に対して少ない
②インスリン抵抗性が強い
インスリンが効かない体質、もしくは効果が発揮しにくい体質である
①1型糖尿病
1型糖尿病は、若年性糖尿病や小児糖尿病と呼ばれています。膵臓がインスリンをほとんど作らない為、体中のインスリンの量が絶対的に不足し発症します。
②2型糖尿病
2型糖尿病は、食事や運動などの生活習慣が関係しており、日本の糖尿病者の95%がこのタイプです。インスリンの量が不十分で起こる場合と、肝臓や筋肉の細胞がインスリン作用が不完全で、ブドウ糖がうまく吸収されず発症する場合とがあります。
③その他、特定の疾患によるもの
遺伝子の異常や肝臓・すい臓の病気、感染症、免疫の異常などが原因となって引き起こされます。
④妊娠糖尿病
妊娠時に現れる糖尿病を指し、新生児に合併症が出ることもあります。
糖尿病は、進行すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、また、脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症・進展を促進します。
私も血糖測定器で血糖値を検査してもらいました。
糖尿病には、主に3つの合併症があります。
①糖尿病網膜症
網膜には毛細血管が張り巡らされており、高血糖の影響により血管が損傷することが原因とされています。
②糖尿病腎症
高血糖状態が続くことにより腎臓機能が働かず、尿を作ることができなくなります。人工透析という形で、尿を外に出す必要が生じます。
③糖尿病神経障害
高血糖によって身体のすみずみに広がる「末梢神経」の働きが低下していきます。末梢神経には、痛みなどを感じる「知覚神経」、筋肉を動かす「運動神経」、 内臓の働きを整えたり体温を調節したりする「自律神経」の3つがあります。この3つの神経の働きが低下し、全身に様々な症状が現れてきます。
神経障害により足の感覚が鈍くなってしまい、また 高血糖の影響で白血球の働きが低下し、感染症を起こしやすく、怪我が治りにくかったり、悪化したりしてしまいます。その為、糖尿病患者にとって、足に怪我がないか、乾燥で足が切れていないか、爪の処理は正しいか、などのこまめなフットケアが大切となってきます。
気づかずにできた足の小さな怪我でさえも、放置してしまうと悪化し壊疽(えそ)状態になります。壊疽とは、傷に細菌が感染しそこが化膿してしまい、皮膚から皮下組織などの細胞が死んで腐敗してしまう病気です。壊疽が進むと、潰瘍(かいよう)となり、最悪、骨まで腐さり切断するケースもあります。これらを糖尿病性壊疽といいます。
世界保健機関 (WHO) によると、2006年の時点で世界には少なくとも1億7100万人の糖尿病患者がいると発表しています。患者数は年々急増しており、2030年までにこの数は倍増すると推定されています。特に、発展途上国は、ライフスタイルの欧米化による、糖質の過剰摂取と運動量のバランスが崩れ、患者数が増加すると推測されています。
このように、生活習慣病による糖尿病患者が多い中、学校給食という食育現場の中で、どのように子供たちに伝えているのでしょうか?