給食トピックス

【分科会報告】第58回 全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会

平成29年8月3.4日に、『第58回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会』が開催されました。私たちも4日に行われた分科会に参加しました。


 

【第4分科会】

食に関する指導 ―個別的な相談指導―

研究主題:現代的健康問題を踏まえた児童生徒への個別的な相談指導はどのようにしたらよいか

 

研究発表1:石川県

発表者の学校では、年3回の発育測定と隔月の体重測定により、児童の身体状況を継続的に把握し、成長曲線を確認した上で、個別的な相談指導を進めるための資料を作成している。また個別的な指導を進めるうえで、学校・家庭・関係機関とのつながりを大切にしており、毎月保護者との面談を実施し、家庭での食生活のことなども含め、連絡を密に取り合いながら対応している。給食センターの職員には、保護者の承諾を得て、アレルギー対応をしている児童の写真を掲示したり、給食時の児童の様子を報告したりするなど「この児童のために対応を行っていく」という意識を持ってもらうために、対応児童が身近に感じられるような手立てを行った。

研究発表2:愛媛県

こちらの学校では、食物アレルギー専任の調理員は配置せず、全調理員が対応できるように交代制で調理している。対応については、以下の方針で行っている。①医師の指示のもとに実施②除去食を基本的に可能な範囲で代替食で対応③一つの料理に複数の原因食材が含まれる場合は、原則アレルゲンとなる食品をすべて除去する。を基本としている。

第4分科会全体を通して、保護者のアレルゲンに対する知識により、子供がアレルギーを持っていると勘違いしてしまうケースが多々ある。保護者へのアレルギーに関する正しい情報を提供するとともに、専門医による診断をもらいはっきりさせることが大切とおっしゃっていた。成長期の子供たちが「間違った情報で、必要な栄養素が摂取できない」とならないよう、栄養教諭は様々な対処をしていた。


 

【第7分科会】

給食管理-栄養管理の在り方-

研究主題:児童生徒の体格及び活動レベル及び地域の実情等に配慮した栄養管理の在り方はどのようにしたらよいか。

研究発表1:石川県

こちらの学校では、それぞれ体格や活動レベルの違う子どもたちに適した給食を提供するということで、年に3回の身体測定で細かく推定エネルギー必要量を算出している。食事の提供量は主食量(米量)の見直しで対応し、担任に協力してもらい、それぞれの子どもたちにご飯の盛り付け量の指導を行っている。

研究発表2:三重県

こちらの学校では、各クラスに主食の具体的な量を示して児童自身に必要な量を知らせると同時に担任にも把握してもらうことで個に応じた量の調節を意識付けていた。児童の推定エネルギー必要量と実際の摂取エネルギーを比較して、一般的な指導ではなく、具体的な個別指導に働きかけていた。

研究発表3:滋賀県

こちらは養護学校の学校栄養職員であり、小学校1年生から高校3年生までの年齢幅がある中で給食の提供・栄養指導を行っていた。小学部の低学年と高学年、中学部、高等部、分教室の高等部、と基準を設定し給食の提供量を分けていた。そこからさらに全員が男子のクラスや、肥満度の高い児童生徒がいるクラスの個別対応、残食調査を行う。学校給食で児童自身が摂取量をきちんと把握し、自分の食事について関心を持つように働きかけていた。

滋賀県の研究発表を聞き、児童の適正摂取量を細かく分析することに多大な時間と労力を費やしていることに感心した。発表後の質疑応答でも出た意見だが、年3回の身体測定はデータを分析してから反映するまでに1か月かかる。しかし、学校の規模によって1か月では反映されないところもあるそうだ。また3校とも担任や学校全体の協力があってできることで、何をするのにもこれが大前提であると感じた。

 


【第8分科会】

給食管理― 環境・衛生に配慮した食育の在り方

学校における環境・衛生に配慮した給食指導や食育の在り方はどのようにしたら良いか

 

研究発表1:石川県

こちらの学校では、2つのマニュアル作成している。「学校給食業務における異常発生時対応処理マニュアル」には感染性胃腸炎の感染、流行時におけるマニュアルが含まれており、それに基づいて調理従事者の業務や検査、献立変更を行う。もう一つの「学校給食日常点検票に基づく衛生管理マニュアル」は衛生管理チェックリストの各項目を詳細に説明しているため、調理員はこれを基に衛生管理を行っている。

また、ATP検査により目に見えない汚れを数値で示すことで根拠のある衛生指導も行っていた。

研究発表2:埼玉県

こちらの学校では、「学校給食衛生管理基準」をもとに「衛生管理マニュアル」を作成している。保健所の立入検査での指摘事項、新しい食品を使用する際の処理方法など、その都度内容の見直しをする。毎朝、調理前に作業工程表を見ながら調理工程の確認、手指の怪我や肉・卵などの取り扱いをなど、当日の作業で注意する点を再確認している。

ごみ減量に関しては、食品ロスを減らすため、だしをとったあとの鰹節でエコふりかけを作ったり、ブロッコリーの茎や大根の葉なども給食で使用している。また家庭科の調理実習でもエコクッキングを実践している。その他、牛乳パックのリサイクルや給食ごみの分別も行っている。

研究発表3:新潟県

こちらは、「学校給食衛生管理基準」をもとに市内統一の衛生管理マニュアル作成した。委託会社の場合は、市のマニュアルに加え委託会社独自のマニュアルの両方守れるように努めている。また、衛生管理研究会、研修会を実施している。衛生管理研究会では日頃の疑問、問題点を協議している。栄養教諭、共同調理場の所長、市教育委員会栄養士の他、指導者として保健所も参加している。研修会は調理員を対象に、異物混入、食中毒、食物アレルギー等について年2回実施している。また、委託会社でも自主的に年2回研修を実施している。緊急時における対策もされており、感染性胃腸炎、異物混入が起こった際にはマニュアルを基づき市教育委員会と連携して対処している。感染性胃腸炎が流行した場合は、給食残渣は調理場に返却せず学校で処分する。給食時間中に嘔吐が発生時は、給食を廃棄し、非常食のカレーを提供する。などの対応を行っている。

第8分科会を通して、印象的だったのは、緊急時の対応についてです。それぞれの市でマニュアルが作成され、それを調理従業員全員が理解している。また、他市の栄養士の方との意見交換をし、その志の高さにとても感銘を受けました。私もより良い給食を提供するためにもっと考えていかないといけないと思いました。来年は今年よりレベルアップし、他市の栄養士の方とお互いに刺激し合える交流ができるようにしたいと思います。


お昼には、石川県の食文化がぎゅっと詰まったお弁当をいただきました。彩りや味付けもよく美味しく頂きました。

 

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