ドキュメンタリー映画
「カレーライスを一から作る」の試写会へ参加しました。
出演:関野吉晴/武蔵野美術大学 関野ゼミ生
監督:前田亜紀
大分で行われた第13回食育推進全国大会でも上映会が開催されたこの作品は、食べ物をただ食べるだけでなく、わたしたちの栄養となるまでの過程に触れ、生きることの重みに気づかされる作品でした。
武蔵野美術大学の課外ゼミで行われたプロジェクトであり、探検家・医師の関野吉晴さんの「モノの原点がどうなっているのかを探していくと社会が見えてくる。カレー作りを通して学生たちには色々なことに気付いてほしい」という思いからスタートしました。
食材はすべて一から作ります。もちろん香辛料も、器も。
時間をかければ材料・具材は完璧に揃うかもしれませんが、これはゼミのプロジェクトなので1年間(実質9か月)で手を合わせて「いただいます」とカレーライスを食べていなければ行けません。
春に種を植え育てた食材は様々です。関野さんは生徒に化学肥料は使っていはいけないということだけ指示をし、後は何もしません。植物を育てる苦労から化学肥料を使いたくなる衝動を抑えながら、スーパーで売られているものが如何にきれいなのか考えさせられます。
塩は海から、器もスプーンも一から作ります。
そしてなんといってもカレーに使用する肉も一から育てるのです。
しかしダチョウは雛から飼育しましたが、3羽とも飼育途中で死んでしまいました。
生徒たちは家畜を通して意識が変わり、カレー作りに熱心になったそうです。
このような苦労もあり最初は150人の生徒が集まったこのゼミも、だんだんと減っていき最終的に何十人となり、その中でも夢中になって取り組んでいたので5.6人でした。
出来たカレーの味は、とても美味しいといえるものではなかったそうですが、自分たちが苦労して育てた植物、動物を大事に頂いている様子が見られました。
関野さんはなぜこのゼミ活動を始めたのか。
それは関野さん自身の体験で、アマゾンで先住民と暮らしていた時に身の回りすべてのものは素材がわかるものであったと言います。自分たちが食べているものがどう作られているのか知らない人が多くて愕然としたそうです。
別にカレーじゃなくてもよかったのです。「命」を育み初めて「食」となることに気づいてもらえれば。
皆さん今一度身の回りのモノがどう作られているのか考えてみて下さい。
「生きること」「食べること」について疑問点がたくさん浮かんでくるはずです。